17栄養 植物にとっての”塩素”

日本が世界に誇る芸術文化「BONSAI」
盆栽にまつわる情報共有を通じて、盆栽界のさらなる発展を応援いたします。
今回は植物の成長に必要な17種類の栄養素から”塩素”について学んだ情報を共有します。

【結論】
①たまに水道水で水かけすれば問題なし
②世界で水道水を飲める国は4.6%、日本の塩素濃度は世界一?

【”塩素”とは】
”1954 年、トマトの水耕栽培の試験で塩素が欠乏すると、生育ができないことで判明した。”*1
割りと最近、必須栄養素であることが発見されました。
主な役割はデンプン等の炭水化物を合成したり、光合成に役立つ栄養素です。

植物にとって”塩素”は微量あれば問題なく、どちらかと言えば過剰な状態に注意が必要です。
”農作物の茎葉中の塩素含有量が土壌中の塩素濃度と正の相関関係があり、葉の灰分中
の塩素含有が 0.28~1.25%の範囲であれば、農作物の成長と収量に異常が見られなかった。”*1とされ、肥料として”塩素”を散布する必要は下で解説する過剰症の例を見ると不要かもしれません。

【塩素の過剰症】
塩素は強力な酸化力があり、土壌が酸性化に傾く要因になる。
また、高濃度の水道水を長期間使用することで、植物に塩分が蓄積すると浸透圧が高まり植物に必要な栄養素の吸収が悪くなったり、阻害されることがあります。
さらに、塩素の酸化作用が植物の細胞内まで影響した結果、欠乏症と同様に葉っぱの”緑”が薄くなり、葉先から枯れることがあります。

【塩素と水道水】
日本が承認している世界の国数は196か国*2で
水道水がそのまま飲める国は日本を含む約9か国です。*3
国単位ではなく、都市単位で見るとシドニーやストックホルムではそのまま飲めます。

日本で水道水がそのまま飲める理由のひとつは”塩素”による消毒が挙げられます。
水道法には直接的な”塩素”についての基準はなく、水道法施行規則に記載があります。

水道法施行規則第17条3
給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg / L(結合残留塩素の場合は、0.4mg /Ll)以上保持するように塩素消毒をすること。

ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水の遊離残留塩素は、0.2mg/L(結合残留塩素の場合は、1.5mg/L)以上とする。

水道水の塩素濃度をアメリカやフランスと比較すると10倍以上濃く、
日本は”水道水の塩素濃度が世界一高い”という説があります。
日本の場合は塩素濃度が〇〇以上といった規制方法なので、地域によっては
塩素濃度が”倍”以上濃い地域もあります。

【所感】
17種類の栄養素から”塩素”についてのご紹介でした。
井戸水を利用している盆栽園の方が多くいらっしゃったので、机上の理論と繋がる点があり嬉しく思いました。

また、今回の学習と記事執筆によって9種類の必須多量元素が一段落しました。
引き続き、机上の学習を育成現場へ繋げられるように、二次要素3種と肥料要素3種類について学習を進めて共有いたします。

#必須栄養素 #塩素 #水道水 #井戸水 #必須多量元素

今回は”塩素”の観点から記事を執筆しました。
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今回の紹介活動により累計134記事目、創作時間は約192.5時間

*1塩素感受性植物と塩素を含有する肥料
*2外務省-世界と日本のデータを見る
*3国土交通省-水資源に関する国際的な取組み
*4塩素分の孟宗竹への影響についてJSPP サイエンス・アドバイザー浅田浩二 回答日:2006-04-17