17栄養 植物にとっての水素
17種類の栄養素から水素についてご紹介します。
【植物と水素の関係】
植物に必要な要素は大きく多量要素と微量要素の2つに分類され全部で17種類あります。
その中で水素は9種類ある多量要素の1つに分類されます。
植物体の構成元素を引用すると、
” 植物体を構成する元素は50種類以上に及ぶが、酸素(O)80%、水素(H)9%、炭素(C)5%、窒素(N)3%、リン(P)2%、カリウム
(K)1%の順で、そのほとんどは有機物の構成成分である。”*1とされ、水素は植物を構成する元素のおよそ10%近くの割合を占める重要な要素だと理解できる。
さらに、植物の元素組成を引用すると、
”植物体を構成している成分で最大のものは「水」である。
水分は多くの野菜や果物では90%前後含まれている。
豆類では75%、イモ類では60%程度である。
植物体の水分を90%とした場合、元素分布でみると水には酸素が80%、水素が10%含まれている。一方、乾物中には酸素、炭素、水素 窒素がそれぞれ4.9%、3.7%、0.6%、0.2%含まれ、さらにミネラル等の灰分が0.6%となる。”*1
水素(H)は植物にとって主食的な要素なので大切ですが、主に水(H₂O)から供給されるため肥料として与えることは通常ない関係から水素単体に注目することは少ないかもしれません。
【役割】
上記の通り、水素(H)は水(H₂O)から供給されるため、土壌の渇き具合に応じた散水によって供給させることで光合成や土壌内へ酸素を供給させたりします。
また、光合成について、なぜ水が必要なのか詳しい解説を引用すると、
”光合成において、水は分解されて酸素になりますが、酸素は単に外に捨てられてしまいます。
実は、植物にとって必要なのは、水を分解する時に生じる還元する力です。
光合成では二酸化炭素から糖を作りますが、二酸化炭素は炭素に酸素がくっついたものであるのに対して、糖は、炭素、酸素の他に水素が結合しています。つまり、(簡単のために非常におおざっぱな言い方をすれば)二酸化炭素から糖を作るためには水素が足りないので、それを水から引き抜くと酸素が余るので、それを捨てる、という感じだと考えてください。
実際には、そのように、単純に水素が動くわけではありませんが、概念的にはそんな感じです。ですから、本当は、別に水でなくてはいけないということはありません。
光合成細菌という仲間の生物は、水(H2O)の代わりに硫化水素(H2S)を使うことができます。そうすると、酸素の代わりに硫黄ができますが、光合成の反応はきちんと進みます。ただ、もちろん、地球上で硫化水素があるところは限られるのに対して、水は非常に広い範囲に存在しますから、光合成で水を使えるようになったことが、植物が地球上で現在のように繁栄するきっかけになったとは言えるでしょう。”*2
盆栽の世界では「水やり3年」や「水やり一生」と呼ばれる程に奥深いのが水やりです。
プロやベテランの熟練した技術と経験を持つ方には不要かもしれませんが、水やりの理屈的な要素の一部を持ち出すと上記の様な解説になります。
また、植物と水素の関係に興味がある方に向けてガス分子の観点から植物と水素について調査したおもしろそうな文献を見つけましたので共有いたします。
17種類の栄養素から水素についてのご紹介でした。
#必須栄養素 #水素 #水やり
*1セントラル化成株式会社-植物養分の種類と働き
*2光合成の森-光合成FAQ