農地に家を建てる 市街化調整区域編 その2

土地利用に厳しい制限がある農地と市街化調整区域が重なった事例その1に続く続編をご紹介します。

市街化調整区域の農地に家を建築する場合は自治体による条例を確認し、審査基準を確認します。
東京都の条例3条による共通する主な審査基準は日常生活圏を構成し、50以上程度の建築物が連続していることが必要です。

そして、条例による5つの例(条例第3条1項1号~5号)が列挙されます。

1号 分家住宅 
市街化調整区域に指定される前から土地を所有し、その土地又はその周辺の地域に居住している者

2号 既存集落内の自己用住宅 
市街化調整区域に指定される前から土地を所有している者が新たに自己用に建築する場合

3号 自己用住宅である既存建築物の建替え等 
市街化調整区域に指定される前からある建物か調整区域に指定された後に建築基準法第6条の規定による確認を受けて建築された建物を増築や改築を行う場合

4号 収用対象事業の施行に伴う移転 
土地収用法に基づく収用事業の対象になり、建物をする場合

5号 既存宅地の建築
市街化調整区域に指定される前から宅地である土地が対象

市街化調整区域の土地に家を建てる場合にはその他にも多くの確認事項があります。
また、東京都条例に関して興味がある方に向けてより詳しい内容を抜粋します。

「都市計画法に規定する開発許可等の基準に関する条例」に係る審査基準
(1) 用語の定義
(2) 許可の基準
条例第3条第1項第1号 分家住宅
(区域区分日前より土地を所有している者の親族の自己用住宅)
条例第3条第1項第2号 既存集落内の自己用住宅
条例第3条第1項第3号 自己用住宅である既存建築物の建替え等
条例第3条第1項第4号 収用対象事業の施行に伴う移転
(市街化調整区域内の移転)
条例第3条第1項第5号 既存宅地の建築
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 区域区分日
法第7条第1項に規定する市街化区域と市街化調整区域との区分に関する都市計画の決定により市街化調整区域として区分され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された日をいう。
二 既存集落
市街化調整区域において自然的社会的諸条件から一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であって、おおむね50以上の建築物が連たんしている地域(市街化区域にまたがる場合を含む。)をいう
1 区域区分日について
区域区分日は、従来通称「線引き日」と称していたものを、定義づけたものである。
2 既存集落について
審査基準
(1)「自然的社会的条件から 一体的な日常生活圏を構成している」については、次を基準に判断すること。
(イ)「自然的条件」とは、自動車専用道路、河川、湖沼、崖、山林等による物理的(地形)状況とする。
(ロ)「社会的条件」とは、小学校区、自治会等のコミュニティ単位、日常生活用品の買いまわり圏、児童公園、郵便局、鉄道、バス等の公益、交通施設の利用圏等とする。

(2)「連たん」の数え方
単位となる建築物の数え方は、当該建築物の敷地の単位とする。
(イ)共同住宅及び長屋は一棟の建築物を1として数える。
(ロ)農家等でその敷地内に住宅のほか、納屋、倉庫等の付属建築物がある場合は全体で1と数える。
(ハ)ゴルフ場、神社、仏閣など極めて大きな敷地内の建築物を対象とする場合は、建築物の周囲の空地部分など通常の建築敷地に対応する部分のみを対象とし、山林、参道、墓地等は、建築敷地としない。

(3)「おおむね 50 以上の建築物が連たんしている地域(市街化区域にまたがる場合を含む。)」とは、以下の基準に該当する地域をいう。
(イ)算定の基準時点は申請時とする。
(ロ)「おおむね 50」とは、45 を下限とする。ただし、自然的条件(地形)又は集落の集積
の程度が高いことその他から見て特にやむを得ないと認められる場合は、40 まで引き下げることができる。
(ハ)「建築物」には、次に掲げるいずれかに該当するものは除外する。
(ⅰ)施設の管理の用に供するもの及び居住の用に供しないもので、無人のもの(学校、体育館等、常時利用されているものは含まない。)
(ⅱ)農林漁業の用に供するもので、都市計画法施行令第 20 条第1号から第4号までに掲げるもの
(ⅲ)建築基準法第 85 条の仮設建築物に該当するもの
(ⅳ)床面積の合計が 10 平方メートル以内のもの
(ⅴ)永続性のないもの
(ⅵ)容易に運搬し得るもの
(ⅶ)廃屋
(ニ)「連たん」とは、建築物の敷地が一定の間隔(55 メートルを限度)で連続して存在していることをいう。なお、河川等の幅が 55m を超えるため、橋を経由した場合は、橋の部分(橋のたもとで計測)については、間隔から除くことができる。(図1)
ただし、河川の幅が 55m 以内で「対岸と一体的な日常生活圏を構成している場合」は、「連たん」しているとみなす。
旧法の既存宅地確認では「隣接、近接」要件として、連たんしている地域が市街化区域から250m以内(市街化区域に接する場合を含む)にあることとしていた。本条例では、条例第3条第1項第2号(既存集落内の自己用住宅)における既存集落と合わせて既存集落を定義しており、「隣接、近接」は要件とはしていない。

分家住宅
第3条 法第34条第12号の規定に基づき条例で定める開発行為は、次に掲げるものとする。
一 市街化調整区域において、土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日前から所有している者(土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日に、所有し、かつ、当該土地又はその周辺の地域に居住していた者から、当該区域区分日以後に相続等により承継した者を含む。)で、当該土地又はその周辺の地域に居住しているものの三親等以内の親族(当該区域区分日における当該土地の所有者の血族及び当該血族の配偶者に限る。)が、新たに自己の居住の用に供する住宅(東京都規則(以下「規則」という。)で定める規模を超えないものに限る。)を必要とし、かつ、市街化区域における建築が困難
であると認められる場合において、当該土地に当該住宅を建築することを目的として行う開発行為
二~五 略
2 前項各号に規定する開発行為を行う土地において予定される建築物(以下「予定建築物」という。)は、規則で定める建ぺい率及び容積率を超えないものに限るものとする。ただし、用途地域が定められている区域における予定建築物については、この限りでない。

[施行規則]
(条例第3条第1項第1号及び第2号の規則で定める規模)
第2条 条例第3条第1項第1号及び第2号の規則で定める規模は、住宅の延べ面積が180平方メートル、敷地面積が330平方メートルとする。ただし、路地状部分のみによって道路に接する敷地の路地状部分及び急斜面等のため建築敷地に適しない土地は、敷地面積に算入しないことができる。
(建築が困難であると認められる場合)
第3条 条例第3条第1項第1号及び第2号の市街化区域における建築が困難であると認められる場合とは、同項第1号に規定する市街化調整区域において土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日前から所有している者で、当該土地若しくはその周辺の地域に居住しているもの及び同号に規定する三親等以内の親族で当該土地において開発行為を行おうとする者又は同項第2号に規定する既存集落内において土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日前から所有している者が、市街化区域に土地を所有していない場合又は市街化区域に土地を所有している場合で当該所有する土地が次に掲げる事由に該当す
るときをいう。
一 当該土地に既に他の建築物が存在し、撤去又は移転ができないこと。
二 当該土地が狭小又は不整形であること。
三 当該土地が傾斜地等であり、造成を必要とすること。
四 当該土地が建築基準法(昭和25年法律第201号)第43条第1項の規定に適合しないこと
五 当該土地が生産緑地法(昭和49年法律第68号)第2条第3項に規定する生産緑地等に指定されていること。
(条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ぺい率及び容積率)
第5条 条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ペい率及び容積率は、当該開発行為又は建築行為を行う土地について、建ぺい率にあっては十分の四、容積率にあっては十分の八に準拠して周辺の土地利用の現況又は当該土地の存する市町村の当該地区の整備の方針に適合するように知事が定める

本号は、従来農家等の分家として開発審査会へ提案されていたものを規定したものである。
区域区分日前から土地を所有している世帯(従来の本家)から子供が独立する場合等(従来の分家)は、通常の分化発展の過程であるとの理由から許可されてきた。条例中本家、分家という表現はないが、「土地を区域区分日前から所有している者」が従来の本家に相当し、この者の「3親等以内の親族」が分家申請者に当たる。

既存集落内の自己用住宅
[条 例]
(法第 34 条第 12 号の条例で定める開発行為)
第3条 法第 34 条第 12 号の 規定に基づき条例で定める開発行為は、次に掲げるものとする。
一 略
二 既存集落内において、土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日前から所有している者(土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日に所有していた者から、当該区域区分日以後に相続等により承継した者を含む。)が、新たに自己の居住の用に供する住宅(規則で定める規模を超えないものに限る。)を必要とし、かつ、市街化区域における建築が困難であると認められる場合において、当該土地に当該住宅を建築することを目的として行う開発行為
三~五 略
2 前項各号に規定する開発行為を行う土地において予定される建築物(以下「予定建築物」という。)は、規則で定める建ぺい率及び容積率を超えないものに限るものとする。ただし、用途地域が定められている区域における予定建築物については、この限りでない。
[施行規則]
(条例第3条第1項第1号及び第2号の規則で定める規模)
第2条 条例第3条第1項第1号及び第2号の規則で定める規模は、住宅の延べ面積が 180平方メートル、敷地面積が 330 平方メートルとする。ただし、路地状部分のみによって道路に接する敷地の路地状部分及び急斜面地等のため建築敷地に適しない土地は、敷地面積に算入しないことができる。
(建築が困難であると認められる場合)
第3条 条例第3条第1項第1号及び第2号の市街化区域における建築が困難であると認められる場合とは、同項第1号に規定する市街化調整区域において土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日前から所有している者で、当該土地若しくはその周辺の地域に居住しているもの及び同号に規定する三親等以内の親族で当該土地において開発行為を行おうとする者又は同項第2号に規定する既存集落内において土地を当該土地の存する区域に係る区域区分日前から所有している者が、市街化区域に土地を所有していない場合又は市街化区域に土地を所有している場合で当該所有する土地が次に掲げる事由に該当するときをいう。
一 当該土地に既に他の建築物が存在し、撤去又は移転できないこと。
二 当該土地が狭小又は不整形であること。
三 当該土地が傾斜地等であり、造成を必要とすること。
四 当該土地が建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)第 43 条第1項の規定に適合しな
いこと。
五 当該土地が生産緑地法(昭和 49 年法律第 68 号)第2条第3項に規定する生産緑地
等に指定されていること。
条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ぺい率及び容積率)第5条 条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ぺい率及び容積率は、当該開発行為又は建築行為を行う土地について、建ぺい率にあっては十分の四、容積率にあっては十分の八に準拠して周辺の土地利用の現況又は当該土地の存する市町村の当該地区の整備の方針に適合するよう知事が定める

自己用住宅である既存建築物の建替え等
[条 例]
(法第 34 条第 12 号の条例で定める開発行為)
第3条 法第 34 条第 12 号の 規定に基づき条例で定める開発行為は、次に掲げるものとする。
一~二 略
三 自己の居住の用に供する住宅で、当該住宅の敷地の存する区域に係る区域区分日前から存するもの又は当該区域区分日以後に法第3章第1節に規定する許可及び建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)第6条第1項の規定による確認(同法第6条の2第1項の規定により同法第6条第1項の規定による確認とみなされるものを含む。)を受けて建築されたものを、規模の狭小その他やむを得ない理由により改築又は増築をしようとする場合において、当該改築又は増築を目的として行う開発行為。ただし、当該改築又は増築が次に掲げる要件のいずれにも該当するものに限る。
イ 用途を変更しないものであること。
ロ 改築又は増築後の住宅の敷地面積は、規則で定める規模を超えないものであること。
四~五 略
2 前項各号に規定する開発行為を行う土地において予定される建築物(以下「予定建築物」という。)は、規則で定める建ぺい率及び容積率を超えないものに限るものとする。ただし、用途地域が定められている区域における予定建築物については、この限りでない。

[施行規則]
(条例第3条第1項第3号ロの規則で定める規模)
第4条 条例第3条第1項第3号ロの規則で定める規模は、次のとおりとする。ただし、路地状部分のみによって道路に接する敷地の路地状部分及び急斜面等のため建築敷地に適しない土地は、敷地面積に算入しないことができる。
一 自己の居住の用に供する住宅で、当該住宅の敷地の存する区域に係る区域区分日前から存するもの又は当該区域区分日以後に都市計画法(昭和 43 年法律第 100 号)第3章第1節に規定する許可及び建築基準法第6条第1項の規定による確認(同法第6条の2第1項の規定により同法第6条第1項の規定による確認とみなされるものを含む。)を受けて建築されたもの(以下「既存住宅」という。)の敷地面積が 200 平方メートル未満の場合は、200 平方メートル
二 既存住宅の敷地面積が 200 平方メートル以上、かつ、改築又は増築後の住宅の延べ面積の合計が 180 平方メートル未満の場合は、330 平方メートル
三 既存住宅の敷地面積が 200 平方メートル以上、かつ、改築又は増築後の住宅の延べ面積の合計が 180 平方メートル以上の場合は、既存住宅の敷地面積の 1.5 倍(条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ぺい率及び容積率)
第5条 条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ペい率及び容積率は、当該開発行為又は建築行為を行う土地について、建ぺい率にあっては十分の四、容積率にあって
は十分の八に準拠して周辺の土地利用の現況又は当該土地の存する市町村の当該地区の整備の方針に適合するように知事が定める。

収用対象事業の施行に伴う移転
[条 例]
(法第 34 条第 12 号の条例で定める開発行為)
第3条 法第 34 条第 12 号の規定に基づき条例で定める開発行為は、次に掲げるものとする。
一~三 略
四 土地収用法(昭和 26 年法律第 219 号)第 3 条に規定する収用対象事業の施行により、市街化調整区域に存する建築物又は第一種特定工作物を移転し、又は除却する必要がある場合に、これらに代わるものを従前と同一の用途及び同程度の規模で、同一の都市計画区域内において、建築し、又は建設することを目的として行う開発行為
五 略
2 前項各号に規定する開発行為を行う土地において予定される建築物(以下「予定建築物」という。)は、規則で定める建ぺい率及び容積率を越えないものに限るものとする。ただし、用途地域が定められている区域における予定建築物については、この限りでない。
[施行規則]
(条例第 3 条第 2 項及び第 4 条第 2 項の規則で定める建ぺい率及び容積率)
第5条 条例第 3 条第 2 項及び第 4 条第 2 項の規則で定める建ぺい率及び容積率は、当該開発行為又は建築行為を行う土地について、建ぺい率にあっては十分の四、容積率にあっては十分の八に準拠して周辺の土地利用の現況又は当該土地の存する市町村の当該地区の整備の方針に適合するよう知事が定る。

既存宅地の建築
[条 例]
(法第 34 条第 12 号の条例で定める開発行為)
第3条 法第 34 条第 12 号の 規定に基づき条例で定める開発行為は、次に掲げるものとする。
一~四 略
五 既存集落内に存する土地で、かつ、当該土地の存する区域に係る区域区分日前から宅地である土地において、当該土地が、用途地域の定められている区域に存するときは当該用途地域の用途に適合する建築物を、用途地域が定められていない区域に存するときは次のいずれかに該当する建築物を建築することを目的として行う開発行為
イ 建築基準法第 48 条第2項に定める第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物
ロ 周辺の土地利用の現況又は当該土地の存する市町村の当該地区の整備の方針に適合していると知事が認める建築物
2 前項各号に規定する開発行為を行う土地において予定される建築物(以下「予定建築物」という。)は、規則で定める建ぺい率及び容積率を超えないものに限るものとする。ただし、用途地域が定められている区域における予定建築物については、この限りでない。
[施行規則]
(条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ぺい率及び容積率)
第5条 条例第3条第2項及び第4条第2項の規則で定める建ペい率及び容積率は、当該開発行為又は建築行為を行う土地について、建ぺい率にあっては十分の四、容積率にあっては十分の八に準拠して周辺の土地利用の現況又は当該土地の存する市町村の当該地区の整備の方針に適合するように知事が定める。
出典:東京都都市整備局 市街化調整区域における立地基準

市街化調整区域の農地に家を建てる場合のご紹介その2でした。

#調整区域 #建築 #条例 #開発行為