農作物栽培高度化施設・営農計画
底面がコンクリートの農業用ハウスについてご紹介します。
農作物の栽培を効率化や高度化する為に設置する、一定条件を満たす農業用ハウス等は農業委員会へ農地転用の許可は不要になり、事前の届出を行うとする法改正が2018年にありました。
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今回の法改正では一部の許可要件が緩和される事に加え、受理された農業用ハウス等は農地として扱われ、固定資産税も農地として課税され、相続税納税猶予の適用を受けることができますが、営農計画書と呼ばれる書類を下記基準まとめ10を基に作成しながら手続きを進めます。
【基準まとめ10】
①農作物の栽培の用に供する施設であること
②農作物の栽培の効率化または高度化を図るためのものであること
③周辺の農地等の営農条件に支障を生ずるおそれがないもの
④設置のために必要な行政庁の許認可等を受けている、または受ける見込みがあること
⑤設置する農地の所有権を有する者の同意があること
⑥施設からの排水について、放流先の管理者の同意を得ること
⑦施設の棟高は8m、軒高は6mを上限とし、平屋構造に限る
⑧屋根や壁面を透過性のないもので覆う施設については、周辺の農地に2時間以上日影が生じないこと
⑨本制度の対象であることを示す標識を設置をし、適当な措置が講じられていること
⑩周辺農地に係る営農環境に著しい支障が生じないように必要な措置が講じられていること
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基準の詳細について興味がある方に向けて、農林水産省からの通知を抜粋します。
1 農地法施行規則第88条の3第1号の判断基準
(1) 「専ら農作物の栽培の用に供されるものであること」について、一律の基準は設けないが、施設内における農作物の栽培と関連性のないスペースが広いなど、一般的な農業用ハウスと比較して適正なものとなっていない場合には要件を満たさないと判断される。
(2) 農業委員会は、農作物栽培高度化施設が、専ら農作物の栽培の用に供されることを担保するため、則第88条の2第2項第6号イに規定する書面を提出する必要があることを、届出者に通知すること。
(3) なお、農業委員会は、則第88条の2第2項第5号に規定する営農に関する計画に記載された生産量と販売量を確認し、届出に係る施設の規模が一般的な農作物の栽培に係る施設の規模と比べて実態に即したものとなっていないと考えられる場合には、当該施設における営農継続を担保する観点から、必要に応じて、施設を適切な規模に見直すよう届出者に助言することが適当である。
適切な規模となっているかどうかの判断に迷うときには、都道府県機構を通じて、都道府県等の施設園芸関係部局に助言を求めることが適当である。
この際、地方公共団体その他の関係者は、同法第54条に基づき、都道府県機構から必
要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならないこととされていることに留意すること。
2 則第88条の3第2号の判断基準
(1) 同号イの判断基準
「農地法施行規則第88条の2第2項第4号及び第88条の3第2号イの農林水産大臣が
定める施設の高さに関する基準により、以下に留意して判断すること。
① 告示の2の「高さが8メートル以内」とは、施設の設置される敷地の地盤面(施設
の設置に当たって概ね30cm以下の基礎を施工する場合には、当該基礎の上部をいう。
以下この2において同じ。)から施設の棟までの高さが8メートル以内であることをいう。
また、「軒の高さが6メートル以内」とは、施設の設置される敷地の地盤面から当該施設の軒までの高さが6メートル以内であることをいう。
② 告示の2の「透過性のないもの」とは、着色されたフィルムや木材板、コンクリー
トなど日光を透過しない素材をいう。
③ 告示の2の「屋根又は壁面を覆う」とは、屋根や壁面について、柱、梁、窓枠、出
入口を除いた部分の大部分の面積を被覆素材が覆っている状態をいう。
④ 告示の2の「周辺の農地におおむね2時間以上日影を生じさせることのないもの」
とは、当該施設の設置によって、周辺農地の地盤面に概ね2時間以上日影を生じさせ
ないことをいい、判断に当たっては次によるものとする。
農作物栽培高度化施設を設置するために、届出に係る土地に新たに施設を設置する場合にあっては、則第88条の2第2項第4号の規定による図面により、春分の日及び秋分の日の真太陽時による午前8時から午後4時までの間において2時間以上日影が生じる範囲に周辺農地が含まれていないことを確認することによって判断する。
既存の施設の底面をコンクリート等で覆うための届出が行われた場合にあっては、等時間日影図又は届出書に記載された当該施設の軒の高さと、施設の敷地と隣接(道路、水路、線路敷等を挟んで接する場合を含む。)する農地との敷地境界線から当該施設までの距離が、次に該当することを確認することによって判断する。
(2) 同号ロの判断基準
① 「その他周辺の農地に係る営農条件に著しい支障」とは、例えば、土砂の流出又は崩壊、雨水の流入等により、周辺農地の営農条件に著しい支障が生じる場合が想定される。
② 「必要な措置が講じられていること」とは、例えば、土砂の流出による周辺農地への支障が生じることが想定される場合には、それを防止するための擁壁の設置など、農作物栽培高度化施設の設置によって想定される周辺農地の営農条件に著しい支障が生じないよう必要な措置が講じられているかによって判断する。
なお、農作物栽培高度化施設が設置された後、周辺農地の営農条件に著しい支障が生じた場合において、当該支障を防除することが担保されるよう、届出者から、施設を設置することによって、周辺農地に著しい支障が生じた場合には適切な是正措置を講ずる旨の同意書の提出を求めること。
また、施設の設置によって、営農条件に著しい支障が生じるおそれがあると認められる場合には、当該支障を防止するための措置を講ずることを記載した書面の提出を求めた上で、支障を防止するために十分な措置となっているか判断すること。
3 則第88条の3第3号の判断基準
(1) 「施設の設置に必要な行政庁の許認可等」については、法令(条例を含む。)により義務付けられている行政庁の許可、認可、承認等をいう。
(2) 「許認可等を受けていること」については、則第88条の2第2項第8号に規定する許
認可等(以下「許認可等」という。)を受けたことを証する書面により確認して判断すること。
(3) 「許認可等を受ける見込みがあること」については、届出書に添付する許認可等を受
ける見込みがあることを証する書面に記載された担当部局への問い合わせにより確認して判断すること。
4 則第88条の3第4号の判断基準
「施設が法第43条第2項に規定する施設であることを明らかにするための標識」とは、
次の全ての要件を満たす必要がある。
(1) 敷地に設置されている施設が、同項に基づく農作物栽培高度化施設であることを表示
したものであること。
(2) 耐久性を持つ素材で作成されたものであり、敷地外から目視によって記載されている
内容を確認できる大きさのものであること。
5 則第88条の3第5号の判断基準
「届出に係る土地が所有権以外の権原に基づいて施設の用に供される場合」とは、届
出に係る土地が所有権以外の権原に基づき高度化施設用地とされる全ての場合をいう。
また、共有の農地を高度化施設用地とするために法第43条第1項の規定による届出を行う場合には、当該農地について所有権を有する者の全ての同意を得る必要があること。
6 附帯設備の取扱い
農作物栽培高度化施設に設置する事務所、駐車場等の附帯設備の取扱いについては、
「施設園芸用地等の取扱いについて、高度化施設用地における農作物の栽培に通常必要不可欠なのものとは言えず、当該農地から独立して他用途への利用又は取引の対象となり得ると認められる場合には、高度化施設用地として取り扱うことはできない。
7 農作物栽培高度化施設の屋根又は壁面に太陽光発電設備等を設置する場合等の取扱い
農作物栽培高度化施設の屋根又は壁面に太陽光発電設備等を設置する場合等は、1から6までのほか、次の(1)又は(2)によること。
(1) 農作物栽培高度化施設の屋根又は壁面に設置する場合
農作物栽培高度化施設の屋根又は壁面に太陽光発電設備等を設置する場合において、次のいずれかに該当するときは、農作物栽培高度化施設に該当する。
① 売電しない場合
発電した電力を農作物栽培高度化施設に設置されている設備に直接供給するもの
であり、発電能力が当該農作物栽培高度化施設の瞬間的な最大消費電力を超えないこと
② 売電する場合
次のいずれかの者が、その計画に位置付けられた農作物栽培高度化施設に設置す
ること
ア 農業経営基盤強化促進法第12条第1項の規定に基づく農業経営改善計画の認定を受けた者
イ 農業経営基盤強化促進法第14条の4第1項の規定に基づく青年等就農計画の認定を受けた者
(2) 農作物栽培高度化施設に附帯して農地に設置する場合
農作物栽培高度化施設に設置する附帯設備の取扱いについては6で示したとおりであり、農作物栽培高度化施設に附帯して太陽光発電設備等を農地に設置する場合についても、高度化施設用地における農作物の栽培に通常必要不可欠なのものとは言えず、当該高度化施設用地から独立して他用途への利用又は取引の対象となり得ると認められる場合には、高度化施設用地として取り扱うことはできない。
出典:農林水産省経営局長通知 改正令和2年12月25日2経営第2427号
上記「基準」を踏まえて、営農計画書を作成して届出を作成して手続きを進めます。
手続きが緩和された底面コンクリートの農業用ハウスについてのご紹介でした。
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