盆栽貿易の1歩 盆栽3種別

日本が世界に誇る芸術文化「BONSAI」
盆栽にまつわる情報共有を通じて、盆栽界のさらなる発展を応援いたします。
今回のテーマは「盆栽3種別」です。

【結論】
①EU諸国の場合、特殊盆栽、網室盆栽、一般盆栽に分類される。
②次回の提出期限まであと359日


【一般盆栽とは】

EU諸国向けの盆栽輸出要件の基礎的な内容です。
後に続く特殊盆栽と網室盆栽も一般盆栽の要件をクリアする必要があります。

①2年間の栽培管理
植物防疫所に登録された50cm以上の棚場”ほ場”で管理を行う

②年間6回の検査
病害虫に関する検査を”最低でも”年間6回行う

③病害虫対策
指定された病害虫に有効な消毒を行い、発症と発生がないこと

④樹種の状態
輸出時に花、果実が無い状態で落葉樹は葉がない休眠期間に輸出する

⑤培養資材(土)

「植付時に使用できる土」

・有機物を含まない未使用品
・ピート
・ココヤシ繊維
・くん蒸又は熱処理を行ったもの
・システムズアプローチを行ったもの


「輸出時」

何らかの問題がある場合は”土を除去”し、植付時の土に植替え対応を行う。


「栽培管理」

栽培記録は”栽培地検査申請書”を使用します。
一般盆栽の場合は栽培年数を記載し、電子申請を行います。


【網室盆栽とは】

EU諸国向けの場合、カミキリムシ類の被害が懸念される樹種が対象になり、一般盆栽に定める条件を満たした上で、下記3点の栽培環境を整える必要があります。

①温室か網室で栽培し、全ての網目は5mm以下*1で換気口や開閉口も同様に設置する
②カミキリ虫類に関する産卵、食害、寄生の痕跡がないこと
③4月までに搬入し、施設外へ原則持ち出さず、栽培管理状況を記録する*2


「網目について」*1

EU諸国向けの場合は網目の基準は5mm以下ですが、アメリカ向けの場合は網目の基準は1.6mm以下でさらに、施設出入口には”自動閉鎖式のドア”の設置が必要になります。
「栽培記録」*2

栽培中の記録は栽培地検査申請書を利用します。
2年目以降の盆栽は園地番号と栽培開始年数がわかる番号を記載します。(Yy-24)


【特殊盆栽とは】
黒松、五葉松、真柏、檜が該当し、一般盆栽より厳しい輸出条件が定められます。
一般盆栽に定める条件を満たした上で下記3点が追加されます。

①棚場の高さを50cm以上にするか、コンクリート床で栽培する
②専用の標識を取り付けて、植付年と栽培地番号を管理する
③樹種ごとに特定の病気と害虫がないこと

 
樹種別病害虫と隔離期間一覧


「黒松」

・病気
赤斑葉枯病、マツ葉枯病、マツこぶ病、マツ葉さび病、リュウキュウマツ漏脂胴枯病、輸出先未発症類

・害虫
ヒコバエ*1、マツバノタマバエ、マツコナカイガラムシ、マツノザイセンチュウ、マツカレハ、ツガカレハ、ニトベキバチ、ニホンキバチ、マメコガネ、マツキボシゾウムシ、ヒゲナガカミキリ属、輸出先未発生類
*1接木している場合に台木を確認する。

・隔離期間
輸入後は3ヶ月以上の隔離栽培が必要


「五葉松」

・病気
マツ発しんさび病、マツ葉枯病、マツこぶ病、マツ葉さび病、リュウキュウマツ漏脂胴枯病、輸出先未発症類

・害虫
ヒコバエ*1、マツバノタマバエ、マツコナカイガラムシ、マツノザイセンチュウ、マツカレハ、ツガカレハ、マメコガネ、マツキボシゾウムシ、ヒゲナガカミキリ属、輸出先未発生類
*1接木している場合に台木を確認する。

・隔離期間
輸入後は3ヶ月以上の隔離栽培が必要
※令和3年の輸入期間は11月1日~翌年3月31日まで


「真柏」

・病気
さび病、輸出先未発症類
※周辺の植物でもさび病がないこと

・害虫
ビャクシンハダニ、タマイブキノタマバエ、マメコガネ、輸出先未発生類
※1回目の検査時に植物防疫官が立会で有効薬剤の消毒が必要

・隔離期間
4月1日~6月30日まで隔離栽培が必要
※令和3年の輸入期間は11月1日~翌年3月31日まで


「檜」

・病気
輸出先未発症類

・害虫
マメコガネ、輸出先未発生類

・隔離期間
輸入後は3ヶ月以上の隔離栽培が必要

※令和3年の輸入期間は11月1日~翌年3月31日まで
※盆栽輸出に必要な申請書は3月31日までに提出し、
「一般盆栽」「網室盆栽」「特殊盆栽」ごとに作成して原則は”電子申請”で提出します。


【所感】

盆栽3種別の観点から記事を執筆しました。
当店は盆栽界の活性化に繋がりそうな情報を調査、発信することで盆栽界を応援しています。

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今回の紹介活動により累計129記事目、創作時間は約177.5時間