盆栽貿易の1歩 目視検査x植物等輸出検査
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盆栽にまつわる情報共有を通じて、盆栽界のさらなる発展を応援いたします。
今回のテーマは「2つの必須申請」です。
【結論】
①栽培地検査が必要ない国でも必須の申請書
②2つの手続をクリアして「植物検疫証明書」をゲットしよう
【植物検疫証明書とは】
2月の記事「盆栽貿易 植物防疫法x検疫証明書」でも登場した植物検疫に関する内容では
20年ぶりに改正した「植物防疫法」の観点から植物検疫について解説しました。
盆栽輸出を成功させる為には輸出先国が求める要件を整える必要があり、”栽培地検査が必要”or”栽培地検査は不要”なのかによって一般的な盆栽を輸出する為の手続が大きく異なります。
詳しくは「栽培地検査」記事に譲りますが、1~3年程度の検査期間が必要になったりします。
今回解説する「植物検疫証明書」とは、盆栽を適法に輸出する場合に必須の手続となり、”植物防疫所”が求める2つの手続「目視検査」と「輸出検査」を経ることでクリアし、「植物検疫証明書」が交付されます。
【目視検査申請書とは】
植物防疫所に対して指定様式を提出して行います。
項目に記載した内容を基にして、病害虫の有無を目視で検査します。
上記の内容を記載して、「eMAFF」を通じた電子申請で行います。
「紙」で申請を行うこともできますが、区分申請に係る条文では電子申請が原則として定められます。
お役所とは原則ではない「例外」として折衝することは何かと面倒で怖いのでおすすめしません。→電子申請「eMAFF」関連記事
【植物防疫法改正の影響】
令和4年に植物防疫法が改正、令和5年4月に施行されました。
関連記事はこちら
今回の改正により、これまで植物防疫法に関する様々な輸出植物検疫検査を”植物防疫所”が実施していましたが、農林水産大臣による「登録検査機関」たる登録を受けることで、民間企業も輸出植物検疫検査の一部を行うことができるようになりました。
農林水産物の輸出促進や輸出検査数の増加などが背景にある様で、今後はよりスムーズで柔軟な検疫に期待されています。
令和6年3月時点では10の民間企業や団体が登録されています。
農林水産省→登録検査機関一覧
【植物等輸出検査申請書とは】
目視検査に合格すると「目視検査報告書」が交付され、「植物等輸出検査申請書」を提出できます。
この手続をクリアすることで、「植物検疫証明書」が植物防疫所より交付されます。
なお、記号及び番号は希望制により、希望がなければ「なし NONE」と記載可、
輸入国政府の輸入許可番号欄は輸入許可書が必要な時のみ記載する。
植物の学名の検索に有益なサイト
・植物和名ー学名インデックス YList
・国立国会図書館サーチ
【所感】
植物輸出で必須の手続も便利な電子申請や海外需要を見越した植物検疫法改正による、民間企業の参入など活発化している様子です。
一部の植物は、植物検疫のクリア後はEMS(国際スピード郵便)によって個人でも簡単に貿易ができますが、盆栽では現実的ではなく、輸出手続のハードルは依然高くあるように思います。
盆栽輸出の現状にある、大手商社や大手貿易コンサルの利用に加えて、小規模事業者や個人レベルでも日本の芸術文化盆栽を活発化させること、海外需要に応える為のサービス展開を目指しています。
今回は植物検疫証明書の取得を見据えた、目視検査x植物等輸出検査の観点から記事を執筆しました。
引き続き、盆栽業界の活性化に繋がる内容をご紹介いたします。
今回の紹介活動により累計126記事目、創作時間は約169時間