盆栽貿易の1歩 病害虫対策
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盆栽にまつわる情報共有を通じて、盆栽界のさらなる発展を応援いたします。
今回のテーマは「病害虫対策」です。
【結論】
①法改正を見据えた設備投資コンクリ床
②輸出しなくても役立つ「棚」と「網」
【病害虫対策とは】
輸出先国によって異なりますが、主に「棚」「網」「培養資材」「消毒」「水」の5つに分類されます。
要件を満たす施設を「ほ場」として植物防疫所へ登録、所定の検査を行い、標識管理の元で輸出を目指します。
今後、盆栽貿易が活発になることで、法改正も活発化、厳格化することが想定されます。
例えば令和6年時点の日本の法律数は2,125件あり*1、その他に憲法1、政令2317、勅令71、府省令4204、規則435件ほどあります。
また、令和5年度に成立した法律数は86件ありますし、平成26年に至っては129件も成立しています。*2
世界的な法令遵守の意識向上やSDGsに見る倫理的意識の高まりから、EU諸国やアメリカを参考にした制度が輸出入条件に加えられることを想定し、現状の病害虫対策としての条件をまとめてみました。
「棚」
地面から50cm以上の高さを確保して栽培する もしくはコンクリート床で栽培する (線虫が入らない状態を確保する)
例えば農業界ではコンクリート床は国の後押しもあり、メリットが用意されるなど注目が高まっています。
下記のメリット事例は農業系ですが、盆栽業界でも活用できる場面がありそうです。
・農地転用が不要
・農業用ハウスの固定資産税優遇
・相続税納税猶予の適用など
過去記事紹介→ 2023年5月 農作物栽培高度化施設・営農計画
「網」
害虫の侵入を防ぐ為、網に関する要件を求められる場合があります。
温室の場合でも網に関する要件があります。
・温室栽培 → 換気口、開閉部へ網を設置します。
・網室栽培 → 指定された目合網を設置します。
※目合目安はアメリカ1.6mm、EU5mm
上記いずれかの要件を満たす必要がありますが、例えばEU諸国へ輸出を目指している場合に
植物防疫所の定期検査でカミキリムシが発見された場合は栽培施設の登録が取り消されます。※カミキリ虫は恐ろしい
「培養資材」
植物を枯らさない為にも重要なポイントです。
無菌状態を客観的に説明できる資材が求められます。
盆栽輸出では、輸出専用に栽培する必要性が高まる理由のひとつがこの領域です。
以下は植付時に使用できる培養資材の一例を抜粋しています。
・有機物を含まない未使用品
・ピートモス
・ココヤシ繊維
・ミズゴケ(韓国)
・樹皮 (韓国)
・くん蒸又は熱処理を行った品(消毒等の検疫措置が必要)
・システムズアプローチ(消毒等の検疫措置が必要)
※指定された培養資材で培養しても、アメリカやカナダでは輸出前に全て除去する必要があります。
中国やベトナムの場合は土壌の付着がないことが条件ですが、輸入許可証で許可された場合は可能です。
「消毒」
所定の時期に害虫と病気に対して効果がある薬剤を散布施行します。
現状では具体的な商品名や薬剤名の指定がなく、登録された効用を確認して実施を行います。
・害虫系 → センチュウ系、ハダニ系、カイガラ系、ハエ系、コガネ系、カミキリ系など
・病気系 → さび病系、こぶ病系、葉枯病系、漏脂胴枯病系、赤斑葉枯病など
また、登録されたほ場周辺の植物でも病気類がないことが要件になる場合があります。
「水」
EU向けに輸出する場合には水に関する規程「清浄な水の使用」*3があります。
清潔な水を散布することは当然に思えますが、井戸水や溜池など、水栓から直接水を散布しないことがあります。
細かく見ると小さい虫が泳いでいることがありますので、検査前には確認したいところです。
※水中の「虫」見えますか?
【所感】
植物育成の基本的な内容を再学習する機会となりました。
特に盆栽輸出で問われる病気予防の「棚」と害虫予防の「網」については早速自宅の栽培環境へ導入すべく、栽培地登録を見据えて先行投資を始めてみたいと思います。
※50cm以上の棚足と網室化計画の途中
今回は盆栽貿易に関係する病害虫対策の観点から記事を執筆しました。
引き続き、盆栽業界の活性化に繋がる情報をご紹介いたします。
今回の紹介活動により累計125記事目、創作時間は約167時間目
*1e-gov法令検索DB登録法令数
*2過去の法律案の提出・成立件数一覧
*3植物防疫所-盆栽等の輸出検疫に係る説明会