盆栽貿易 植物防疫法x検疫証明書
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盆栽にまつわる情報共有を通じて、盆栽界のさらなる発展を応援いたします。
今回のテーマは「植物防疫法と検疫証明書」です。
【結論】
①20年ぶりの改正で「雑草」「廃棄」「検査」に追加あり
②植物防疫法をクリアして「植物検疫証明書」をゲットしよう
【植物防疫法とは】
植物の輸出入によって病気のまん延、害虫の侵入を防止する為に「植物検疫」を行うことが主な目的です。
植物防疫法に定める検査(植物検疫)を行い、要件を満たすことで「植物検疫証明書」が取得できます。
前回記事と重複しますが、5年で100万人以上餓死、200万人以上が移住した「ジャガイモ飢饉」を新型コロナウィルスによる日本国内の死者数を8万人/5年間と仮定すると被害の大きさが伺え、輸出入の手続きでは大きなハードルになる反面、大切な制度でもあります。
この植物を検査(検疫)する制度はジャガイモ飢饉などの影響から植物病理学が誕生した後、” 1850年代、ブドウネアブラムシは、アメリカ合衆国からブドウ苗とともにフランスに侵入し、フランスのブドウ園は甚大な被害を受けて荒廃し、当時のワイン生産量が30%程度に減少したと言われています。 フランスでのブドウネアブラムシの被害を知ったドイツは、ブドウネアブラムシが自国に侵入するのを恐れ、1872年(明治5年)「ブドウ害虫予防令」を公布し、繁殖用ブドウ苗の輸入を禁止しました。これが輸入植物検疫の始まりと言われています。”*1
日本では昭和25年5月4日木曜日に官報(号外)によって公布されました。
主要な名称は下記4つ
・植物防疫法
・植物防疫施行令
・植物防疫法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令 抄
・植物防疫法施行規則
また、令和5年4月1日から新しい植物防疫法が施行されます。
法改正に対する農林水産省の解説によると ” 近年、温暖化等による気候変動、人やモノの国境を越えた移動の増加等に伴い、有害動植物の侵入・まん延リスクが高まっています。他方、化学農薬の低減等による環境負荷低減が国際的な課題となっていることに加え、国内では化学農薬に依存した防除により薬剤抵抗性が発達した有害動植物が発生するなど、発生の予防を含めた防除の普及等を図っていくことが急務となっています。また、農林水産物・食品の輸出促進に取り組む中で、植物防疫官の輸出検査業務も増加するなど、植物防疫をめぐる状況は複雑化しています。”*2 として、20年以上も改正されなかった法律が令和に入ってようやく更新されました。
【恐怖の9条】
植物を輸入する者にとって最大の恐怖条文「廃棄処分」を定める9条です。
今回の改正では廃棄されない例外が追加されました。
①植物防疫官が当該輸入禁止品を試験研究等用途に供する場合
②輸入禁止品を試験研究等用途に供することについて農林水産大臣の許可を受けた者に対し、当該輸入禁止品を当該許可に係る用に供させるために譲り渡す場合
【検査の10条】
植物輸入の胆「植物検疫証明書」を取得するための検査について定める10条です。
今回の改正では検査の一部を行わないとする内容が追加されました。
10条5 植物防疫官は、登録検査機関が、第十条の四第一項の規定による登録に係る検査において輸入国の要求に適合している旨の確認をした植物又は物品及びこれらの容器包装については、農林水産省令で定めるところにより、第一項又は前項の規定による検査の一部を行わないことができる。
【罰則】
法令違反をした者に対する内容で39条では3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が定められています。
さらに、法人について43条では最大5,000万円の罰金が課せられます。
【雑草の追加】
近年の空き家問題など多くの場面で登場する「雑草」
植物防疫法ではこの雑草が定義に含まれていなかったそうで、京都大学の植物学者、黒川俊二氏によると”農業生産現場で普通に大きな問題をもたらしている雑草がこれまで有害植物の定義に含まれていなかったことは,知らない人からすると何を今さらと驚かれるかもしれないが,紛れもない事実である.ようやく農業現場で深刻な被害をもたらしている雑草が「有害植物」として公的に認められたということになる.”等として、今回の法改正について言及(貴重)されています。*3
【所感】
植物の輸出入でかかせない、植物防疫法の観点から記事を執筆しました。
次回は、開業してから約半年間の間に7つの行政機関に対して当店が行った「電子申請」の実績から、
盆栽貿易に関連する電子申請に関する内容をご紹介いたします。
*1植物防疫所-植物検疫ギャラリー-昔の植物検疫
*2農林水産省-植物防疫法の改正について
*3植物防疫法の改正で何が変わるのか-京都大学大学院農学研究科-黒川俊二