盆栽盗難の救済手段
dựa vào quyền lực nhà nước/依靠国家权力

日本が世界に誇る芸術文化「BONSAI」
盆栽界の課題である盗難についての観点から情報を共有し、盆栽発展を応援いたします。

今回のテーマは「盆栽盗難の救済手段」です。

【結論】

①手続き期限は次の3つ→告訴期間・公訴時効・民事時効

②被害届から難易度の高い告訴状受理を目指す

【盗難とは】

盗難被害を救済する為に「盗難」を法律用語へ変換すると「窃盗」として考える必要があります。

細かい話ですが、刑法の中に盗難は存在せず、極端な話をするといくら盗難の被害を訴えてもお役所の人間からすれば法律上存在しないことを言われても動きません。 ※実際にここまで酷いことは稀ですが。

条文を見てみましょう。

刑法235条(窃盗)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
※未遂の場合も処罰されます。刑法243条(未遂罪)

窃盗を行ったことはありませんが、恐らく巷で行われる盆栽盗難については他にも多くの罪名が追加されて重罪になることは間違いないと思います。
※強盗、強盗予備、恐喝、住居侵入、不法行為、入管法etc…

【2つの時効と期間】

①公訴時効 7年

法務省によると”公訴時効とは,犯罪が行われたとしても,法律の定める期間が経過すれば,犯人を処罰することができなくなるものです。”*1

非常に悔しいですが、犯人は一定期間逃げ切ることで処罰されなくなります。

刑事訴訟法250条によると、最高刑が10年以下の懲役がある窃盗罪の公訴時効は7年です。

ただし、犯人が国外逃亡した場合には時効の進行が停止する条文があります。

刑事訴訟法255条

犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかった場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。

②民事時効 3年・5年・10年

民法上では窃盗が不法行為(709条)が考えられますが、この場合の時効は

被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間です。

また、加害者は不当利得の返還義務(703条)があり、債権等の消滅時効(166条)によると債権者が権利を行使することができることを知った時(犯人特定等)から5年間、もしくは被害発生から10年を経過した場合です。

③告訴期間 なし

そもそも告訴とは”告訴とは、犯罪被害者などの告訴ができると法律で定められた者(告訴権者)が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求めることをいいます。”*2

犯罪被害を申告するにすぎない「被害届」とは大きく性質が異なります。

告訴の受理によって、司法警察員が書類、証拠類を検察官へ送付義務が生じるためです。

告訴期間は235条に「親告罪」については犯人を知った時から6ヶ月と定められていますが、窃盗罪は原則的に申告罪ではない為、被害者は告訴の必要がなく、被害届の提出で捜査対象になるはずですが現実はそう簡単ではありません。

【犯人を捕まえて貰う為】

被害届の提出だけでは具体的な捜査が難しいと思います。

その理由は上記の【盗難とは】でも触れましたが、お役所の人間からすれば法律上存在しないことを言われても動きません。つまり、被害届の提出がされても捜査開始を義務付ける法的な条文根拠がないからです。

そこで登場するのが「告訴状」です。

条文を見てみましょう。

犯罪捜査規範67条

”告訴または告発があつた事件については、特にすみやかに捜査を行うように努める”とする記載があります。

さらに、刑事訴訟法242条では”司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。”とする内容が記載されます。

上記の内容などから、被害届とは異なり、具体的な義務が生じることになります。

その一方で、受理件数が増える程、検挙率たる内部的な問題もあり、水際作戦の様な実態も噂に聞きます。

内部規範を確認すると受理しなければならない条文もあります。

犯罪捜査規範61条

犯罪による被害の届出をする者があったときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。

しかし、告訴状の受理はそう簡単な話でもありません。

事件についての説明を各種の条文根拠に照らして行い、告訴状に反映させる必要があります。

時間と労力は非常に大きいものになると予想されます。

読解すべき公的資料を添付いたします。

告訴・告発の受理体制及び指導・管理の強化について

告訴・告発の受理体制及び指導・管理の強化に係る具体的留意事項について

広域捜査隊編成要領の一部改正について(通達)

窃盗犯の検挙向上に向けた取組の強化について(通達)

総合評価書

【告訴状受理に向けて】

①事件の相談と立会を行い、客観的な事実関係を基に被害に遭った盆栽を特定して説明する。

②示談の可能性がないこと、民事訴訟を有利に進める目的でないことを説明する。

③強い処罰感情をはっきり伝え、たらい回しを回避する為「警視庁」へ「選挙時期」を避けて提出する。

少なくともこの3点が揃わないと告訴状の受理は現実的ではないかもしれません。政府統計*3

少し古い資料ですが、告訴の受理に関する答弁書を添付します。*4

また、告訴状を提出してから数ヶ月連絡がなかったり、明確な回答を得られないことや、追加資料を求められたり、何度も署へ通ったりなど、受理されるまでに半年以上の期間を要することもあるようです。

尽力した結果、告訴状が受理されない場合は警察本部の監察官室や公安委員会に苦情を申し立てる手段があります。

【外注費用の相場感】

参考までにざっくりとした外注費用の相場を調査してみた結果です。

弁護士  30万円~60万円

行政書士   3万円~15万円

代理申請を行える権限に大きな違いがあるものの、安かろう、悪かろうにならぬよう精進したいものです。

【所感】

盆栽の盗難被害に遭われてしまった方の為に救済手段を改めて調査してみると、厳しい現実を突きつけられた気がします。

被害に遭われた方が何より苦しんでいることは間違いないでしょうし、犯人に対する怒りについては同じ経営者の立場としてだけでなく、盆栽愛好家としても他人事ではないと共感できます。

※経営者としても盆栽愛好家としてのレベルが未熟であることは理解しています。

特に、被害者が救済されるべき手続きのポイントである「告訴状」のハードルが高く聳え立ちます。

当店としても、何とかお力添えできないかと日々思考を凝らしますが、気軽に踏み込める領域ではありません。

しかし、盆栽の発展を応援する方針に対して「盆栽盗難」に関するサポートは必須の内容だと痛感していますので、少しでも被害者が救済されるに良い方法がないか模索を続けます。

今回は盆栽発展を応援する為、盆栽盗難の救済手段の観点から記事を執筆しました。

次回より「盆栽輸出」についてご紹介いたします。

Bạn có muốn cướp người thân của bạn để lấy tiền? 
你想以牺牲某人的家人为代价来获得金钱吗?

*1法務省だより-あかれんが-公訴時効の改正について

*2法テラス-告訴とは何ですか?告発とは違うのですか?

*3政府統計の総合窓口

*4衆議院議員新村勝雄君提出告訴及び告発の受理、処理状況に関する質問に対する答弁書