ドローン免許 学科15 電波

公式書籍の販売が追いついていないドローン国家資格から電波類について解説いたします。

電波類の性質

電波は障害物の後ろに回り込む回折、異なる媒質にぶつかった際の反射や屈折、透過

周波数の近い電波が重なる電波干渉によって互いが減衰する性質などがある。

・直進 

障害物が無い場合は進行方向へ直進する。

・反射

波が入射波として媒質の違う物質にぶつかるとその境界で反射波が発生する。境界が自由端となる場合,入射波の山が境界に入射すると,山となる反射波ができる.

したがって,入射波の周波数f (単位時間当たりに境界にぶつかる波の山の数)と反射波の周波数 f は等しい.

境界が固定端となる場合,入射波の山が境界に入射すると,谷となる反射波ができるが,ここでも,入

射波の周波数(単位時間当たりに境界にぶつかる波の山の数)と反射波の周波数(単位時間当たりに境界から出る波の谷の数)は等しい.一方,波の進む速さは媒質と波の性質によって決まるので,入射波と反射波は進行方向だけが異なり,同じ種類の波で同じ媒質を進むので,入射波と反射波の進む速さ v は等しい.さらに,(11-2-5)式(v = f λ)から 2 つの波の波長 λ も等しい

・屈折

媒質 1 を進んでいた波が入射波として,媒質 1 と媒質 2 の境界にぶつかり透過波が発生する.媒質 2 を透過波が進む場合を考えてみよう.波が進む速さは媒質の違いによるので,媒質 1 での波の速さを v1,媒質 2 での波の速さを v2 とする.入射波の波面が 1 個,境界面にぶつかることによって 1 個の透過波の波面が生じる.

したがって,入射波の周波数 f1と透過波の周波数 f2は等しい(f1 = f2 = f ).さらに,(11-2-5)式のv = f λ より,波長はそれぞれ異なる値をとり,媒質 1 での波長を λ1,媒質2 での波長を λ2

とすると下の式が成り立つ.

v1 = f λ₁

v2 = f λ₂

出典:函館工業高等専門学校11-8.反射と屈折

・回折 

周波数が低いほど、より障害物を回り込むことができるようになる。

・干渉 

2 つ以上の波が重なると、強め合ったり、弱め合ったりする。

・減衰 

進行距離の2乗に反比例する形で電力密度が減少する。

進行距離が 2 倍になると電波の電力密度は 1/4 になる。

周波数により特性は異なるものの、電波は水中では吸収されて大きく減衰される

・GHz(ギガヘルツ)

周波数の国際単位

1ギガヘルツの1周期は10−9秒=1ナノ秒 (ns) 

10⁹ヘルツ (Hz) (= 1000000000 Hz)

1000メガヘルツ (MHz)、0.001テラヘルツ (THz) に相当する。 出典:wiki

また、2.4GHzの電波は直進性が高く、回折しにくいため障害物の影響を受けやすい

ドローンで使用されている主な電波の周波数帯は、2.4GHz 帯、5.7GHz 帯、920MHz 帯、73MHz 帯、169MHz 帯である。

制御用通信に多く使用される極超短波は10cm~1mの波長(周波数 300MHz~3GHz)で、超短波(波長 1~10m、周波数 30~300MHz)に比べて直進性が更に強くなるが、多少の山や建物の陰には回り込んで伝わることができる。伝送できる情報量が大きく、小型のアンテナと送受信設備で通信できることから、携帯電話や業務用無線、アマチュア無線、無人航空機など多種多様な移動通信システムを中心に、地上デジタルTV、空港監視レーダー、電子タグ、電子レンジ等幅広く利用される。

マイクロ波は1~10cmの波長(周波数 3~30GHz)で、直進性が強い性質を持つため特定の方向に

向けて発射するのに適している。

伝送できる情報量が非常に大きいことから、衛星通信、衛星放送や無人航空機の画像伝送、無線LANに利用される。レーダーもマイクロ波の直進性を活用したシステムで、気象レーダーや船舶用レーダー等に利用される。

・マルチパス

送信アンテナから放射された電波が山や建物などによる反射、屈折等により複数の経路を通って伝搬

される現象で、電波が弱くなり到達するまでにわずかな遅れ、一時的な操縦不能の要因

・フレネルゾーン

電力損失をすることなく電波が到達するために必要とする領域。

無線通信での「見通しが良い」という表現は、フレネルゾーンがしっかり確保されている状態であることを意味する。

半径は周波数が高く、お互いの距離が短くなればなるほど小さくなる

目安 2.4 GHz 帯、5.7 GHz 帯の場合、2 地点が 100m 離れたケースでは 2m 以下

・トラブル

外来電波や他の設備・機器からのノイズにより無線設備の通信環境が不安定になることがある為、スペクトラムアナライザを用いて、使用している周波数と同じ電波が現地エリアで使用されている状況や、他の設備・機器からノイズが発生していないかを確認する方法がある。

・スペクトラムアナライザ

電気信号や電磁波に含まれる信号の周波数スペクトルを分析して表示させる電気計測器

・計算 フレネルゾーン半径と必要なアンテナ高さ

フレネルゾーンの半径:R(m)、送受信アンテナ間距離:D(m)、使用周波数f(Hz)、波長:λ(m) とすると、これらの間には以下の関係がある。

R=√𝜆 x (𝐷/2)²x1/D

送受信アンテナ間距離:100m 、使用周波数:2.4GHz のときのフレネルゾーンの半径の具体的な導出法

上記の前提条件より、送受信アンテナ間距離:D=100m、使用周波数:f=2.4×109Hz、

波長:λ=(3×10⁸)÷(2.4×10⁹)=0.125 m(光の速度を 3×10⁸m/s とした場合)と求めることができる。

以上より、フレネルゾーンの半径 R は

𝑅 = √𝜆 × (𝐷/2)²x1/𝐷=√𝜆 x𝐷/4=√0.125 x100/4≒ 1.77 m

実際にはフレネルゾーン半径の 60%以上のアンテナ高さが確保できていれば、フレネルゾーンに障害物がない場合と同等の通信品質を確保できるといわれている。この条件にて必要なアンテナの高さを計算すると、1.77×0.6≒1.1m以上となる。

今回はドローンにまつわる電波類についてのご紹介でした。

#電磁波 #電波 #電気