ドローン資格 学科10 一等用計算の基礎①
公式書籍の販売が追いついていないドローン国家資格の基本計算対策、「飛行機の揚力・回転翼航空機の推力」について解説いたします。
・基本計算
カテゴリーⅢ飛行を行うことを想定する一等試験ではドローンの飛行性能について、ペイロード(最大積載量)を踏まえた基本的な計算を理解する必要があります。
具体的に必要な要素は以下の7種
機体重量、揚力、推力、空気密度、飛行速度、高度、回転翼の回転角速度の関係
記号一覧
∝(比例) =左右が比例していることを表す
ω (オメガ)=角速度に使用する(物体が回転運動する時の回転速度を単位時間の回転角)
ρ (ロー) =密度を表す
計算式一覧
・機体重量(W)
W=L∝ρ V²
・推力(T)
T∝ωρ²
・ホバリング時(機体重量と推力が同じ)
W=T
・回転翼の消費パワー(P)は空気密度(ρ)、回転角速度(ω)、推力(T)と比例する
P∝ρω³∝Tω
以下 無人航空機の飛行の安全に関する教則第2版 p34より抜粋
4.3.3 無人航空機の飛行性能〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行を行うにあたっては、無人航空機の飛行性能(離陸性能、上昇性能、加速性能、巡行性能、旋回性能、降下性能、着陸性能等)及びこれに影響を与える要因(機体重量、飛行速度、空気密度や風などの大気状態等)について理解することが必要となる。
4.3.4 無人航空機へのペイロード搭載
無人航空機には、ペイロードを搭載できない機体を除き、機体ごとに安全に飛行できるペイロードの
最大積載量が定められている。ただし、ペイロードの最大積載量とペイロード搭載時の飛行性能は飛行
高度、大気状態によっても異なり、また飛行機の場合は離着陸エリアの広さによっても異なる。機体重量が変化すると航空機の飛行特性(安定性、飛行性能、運動性能)は変化するため注意が必要である。機体の重心位置の変化は飛行特性に大きな影響を及ぼすため、ペイロードの有無によって機体の重心位
置が著しく変化しないようにしなければならない。
4.3.5 飛行性能の基本的な計算〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行を行うにあたっては、無人航空機の飛行性能に関わる以下のような基本的な計算
(機体重量、揚力、推力、空気密度、飛行速度、高度、回転翼の回転角速度の関係等)について理解しておく必要がある。
(1) 飛行機の揚力・回転翼航空機の推力
飛行機の水平定常飛行においては、機体重量𝑊 、揚力𝐿 、空気密度𝜌、飛行速度𝑉 の間に以下の関係がある。
𝑊 = 𝐿 ∝ 𝜌𝑉²
プロペラなどの回転翼の推力𝑇 は、空気密度𝜌、回転角速度𝜔の間に以下の関係がある。
𝑇 ∝ 𝜌𝜔²
回転翼航空機(ヘリコプター)及び回転翼航空機(マルチローター)のホバリング時には、機体重量𝑊
と推力𝑇 の間に以下の関係がある。
𝑊 = 𝑇
また、回転翼の消費パワー(仕事率)𝑃 は、空気密度𝜌、回転角速度𝜔、推力𝑇 の間に以下の関係がある。
𝑃 ∝ 𝜌𝜔³ ∝ 𝑇𝜔
大気には標準大気が定められており、空気密度は高度に対して以下の表のように変化する。高度が
1000m 増加すると、空気密度は約 0.9 倍になる。
例えば、高度 3000mでの空気密度は高度 0m と比べると、0.74 倍になる。そのため、飛行機が同
じ飛行速度で飛行するならば揚力は 0.74 倍になる。そこで√1/0.74 ≒1.16 倍の飛行速度が必要であ
る。回転翼航空機の場合も、同じ回転角速度で発生するプロペラの推力は 0.74 倍になり、同じ機体重
量の回転翼航空機を飛行させるためには√1/0.74 ≒1.16 倍のプロペラの回転角速度が必要であり、そ
のために必要な消費パワーは 1.16 倍になる。
ペイロードが搭載されるなどして飛行機の機体重量が 2 倍になると、2 倍の揚力が必要となり、高度
などの他の条件が同じであれば、√2 ≒1.4 倍の機体速度が必要である。回転翼航空機の場合、機体重
量が 2 倍になると、2 倍の推力が必要となり、高度などの条件が同じであれば、√2 ≒1.4 倍のプロペラ
回転角速度が必要で、消費パワーは√2³ ≒2.8倍になる。
飛行機において、機体重量が2倍になると、揚力が2倍必要になり、同じ迎角で飛行するためには
√2 ≒1.4 倍の飛行速度が必要になる。飛行中に速度を落としていくと、揚力を得るためには迎角を大き
くしなければならない。しかし、迎角が大きくなりすぎると失速する。すなわち、飛行機には最低飛行速度(失速速度)が存在する。飛行速度の増加が必要ということは最低速度もそれに比例して増加することを意味する。すなわち、飛行機の機体重量が 2 倍になると、最低速度は 1.4 倍となる。
一等試験に必要な計算問題対策の基礎についてのご紹介でした。
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